工場ナイト@新宿ロフトプラスワン

石井哲大山顕工場萌え』出版記念イベント。

スライドショウ
6歳まで団地に住み、そのあと実家を出るまでは京浜工業地帯をつかず離れずして育ったおかげで、工場もまた身近かつノスタルジックな存在。そういえば子供のころ外で遊んでいると、日が暮れるにつれてフレアスタック(聖火台みたいな塔)の炎がだんだん目に見えるようになってきたのを思い出す。独特の光に満ちた写真が表示されるたび、まるで花火を眺めるように「うわぁ!」とため息まじりの歓声が上がるのが快感だった。それと皆やっぱりベッヒャー好きなのね。工場鑑賞は溶鉱炉に始まり溶鉱炉に終わる。
鹿島港見学
例によって、ノンケの人を趣味の世界へ連れていき洗脳する、というレポート。今回はとくに女の子2名同伴で。しかし川崎市の夜光(実在する地名)は夜景目当てのデートスポットになっているという話も聞くし(あまり治安はよろしくないので、車で行くことを推奨する)もしかしたら団地よりもマニアック度は低いかもしれない。「解像度ここまで。Google Eeathわかってねぇ!」「鹿島港の気候はニューヨーク港の気候と似通っていますが、すべての点ですぐれています(うろ覚え)」「展望台に上ってみたら、世界の中心は鹿島だった」。個人的には原料ヤードにいたく萌える。
なぜ工場に「萌える」のか
公害やら環境汚染の関係で、「工場大好き!」と公言するには一種のうしろめたさがつきものなのだそうだ。実際この本の制作にあたっても、社の上層部が出し渋るなか間隙を縫い縫いして出版にこぎつけたという。そういう「もどかしさ」も魅力のひとつなのか。紹介されていた画像はおもに臨海部のものが中心で、それらは用途が終わるとスクラップしてまた新しい工場を建てるらしいのだが、鉱山などの陸にある工場は、そこから採れる原料が尽きたら役割は完全に終了なので、そのまま廃墟化しがちなあたりがより生命体っぽい、とか。工業地帯でいちばん人工的に見えるのは街路樹、とか。考察は尽きず。

イベントでは言及されなかったものの、写真集の巻末に「工場に親しめそうな小説」として笙野頼子タイムスリップ・コンビナート (文春文庫)』が載っていてニヤニヤする。ついでに「工場趣味と親和性が高い音楽」にはぜひ初期のノイバウテンも入れてほしかった。



ミスドのホームカットをかじって帰宅。風邪っぴきの隣人にロキソニンの3連シートをもらう。